妊娠中は、虫刺されにも気を付けなければなりません。
特に、蚊の媒介によって感染するジカ熱やデング熱。
日本でのジカ熱やデング熱の流行は確認されていませんが、妊婦さんがこれらの感染症にかかると胎児に悪影響を与えると言われています。
たとえ感染症にかからなかったとしても、虫にさされるとかゆみや痛みを伴い、場合によっては跡になって残ることもありますから、できるかぎり虫刺されは避けたいものです。
虫に刺されないための予防策はいくつかありますが、手軽に使える予防グッズと言えば「虫除けスプレー」でしょうか。
シュッと一吹きするだけですから、とても簡単ですよね?
しかし、虫除けスプレーにもいろいろ種類があり、中には「安易に使うのは危険なものもある」のを知っていますか?
特に妊婦さんや子どもに気を付けてほしいのが、「ディート」という成分が入った虫除けです。
今回は「ディート」や「妊娠中の虫除けスプレーの選び方」についてご紹介して行きます。
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虫除けに含まれているディートとは?
一般的な虫除けスプレーに含まれている「ディート」という成分。
みなさんは、ディートいう名前を聞いたことがありますか?
「ディート」というは、アメリカ陸軍のジャングル戦の経験から開発された虫除け成分です。
ジャングル戦では、虫に刺されることでツツガムシ病やデング熱、マラリアなどの病気に感染するおそれがあったため、虫に刺されないよう「強力な虫除け」が必要でした。
そこで、1946年に軍事用として開発された虫よけ成分がディートです。
ディートには「蚊の触角を麻痺させて、人間を吸血対象として感知できなくなる」という働きがあるそうです。
ディートは虫除けとしての効果はもちろん、効力が長いという点で重宝されてきました。
そして、ディートは比較的安価に手に入ることから、1957年には民間でも使用が開始され、現在で市販の虫除け剤のほとんどに使用されています。
ディートは殺虫剤ではなく忌避剤であることから、厚生労働省では蚊に刺されないための対策のひとつとしてディート入りの虫除けスプレーの使用をあげています。
ディートは妊婦さんに安全?ディートの危険性とは?
私達の身の回りでごく普通に使われているディート入り虫除け剤ですが、実はディートには「安全性の懸念」が残ることも事実です。
実はディートは、消防法上の「石油」に該当し、肌への刺激性が認められています。
稀に、神経障害や皮膚炎などの副作用が出ることも分かっています。
海外では、マラリアを避けるために毎日クロロキン(マラリア予防薬)とディートを使っていた女性から、知能発達障害と運動障害、顔面奇形のある赤ちゃんが産まれたとの報告があります。
またラットを使用した実験では、ディートは胎盤を通じて容易に母体から胎児に移行することも明らかになっています。
ただ、現時点において、「ディートの科学的な根拠に基づく副作用」は発表されておらず、国よってディートの使用上限もさまざまです。
日本では、これまで虫よけスプレーに使用するディートの含有量は最大12%とされてきましたが、最近になってディート30%の商品が発売されました。
こうした商品の使用上の注意を見てみると、
● ディート含有量12%のものは、6か月未満の赤ちゃんの使用禁止
● ディート含有量30%のものは、12歳未満の小児の使用禁止
となっています。
日本国内において大きな副作用の報告はないものの、このようにディートの使用上限が定められていることを考えると、ディートの安全性に不安が残るのは否めません。
また、ディートの含有量が増加したことによって肌への影響力がさらに強くなったと言えます
妊娠中の肌はデリケートな状態ですから、妊婦さんが高濃度のディートを使用する際は注意して下さい。
世界的に見ても、ディートの副作用についての研究や実験の症例が少なく、まだまだ研究段階のよう。
つまり、ディートは「危険」とも言えない代わりに「安全」とも言い難いのです。
個人的には、免疫力の弱い妊婦さんや子どもにとって、ディートの使用には慎重になるべきだと思います。
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妊婦さんが安心して使える虫除けの選びの方は?
市販の虫除け剤の多くには、ディートが含まれています。
ただディートの存在に気付いていた方は多くはないのではありませんか。
なぜなら、市販の虫除け剤には、目に着くところにディートではなく「虫よけ成分」と表記されているからです。
知らないうちにディートが多く含まれるものを使っていた、ということがないよう成分内容をしっかり確認してくださいね。
そして、ディートの安全性に不安を感じる方のために、近年ではディートが入っていない虫よけ剤も販売されています。
ディート不使用の虫除け剤というのは、虫が嫌うハーブを使用して作られています。
虫が嫌うハーブとは、例えばシトロネラ、レモングラスといったもので、ディート入りのものより効果は下がりますが「安全に使える」という点では、妊婦さんや小さなお子さんにもお勧めです。
ただ「大量生産ができないので、値段が高い傾向にある」というデメリットもあります。
◇妊娠期や授乳期だけでも、安全なものを使いたい
◇肌に優しいものを使いたい
◇ナチュラルなものを使いたい
という方は、ハーブで作られた虫よけ剤を選ぶといいでしょう。
妊婦さんにも安心な虫よけスプレーを手作りしてみよう!
ディート不使用の虫除け剤が手に入りにくい場合、アロマオイルとエッセンシャルオイルで「虫除けスプレーを自分で作る」という方法もあります。
作り方は簡単です。
<用意するもの>
・アロマオイル(虫よけ作用のあるもの)
・無水エタノール5ml
・精製水 95ml
<作り方>
1、 無水エタノール5mlの中にアロマオイルを数滴入れる
2、 ①を精製水95mlで薄める
3、 ②に容器に詰める
このように、とっても簡単に作ることができますから試してみてはいかがでしょうか?
アロマオイルを使った手作り虫除けスプレーは匂いが消えれば効果がなくなってしまうため、小まめにスプレーして下さいね。
おわりに
ディートの虫除け効果は抜群だそうですから、健康な大人や非妊娠時に適量を守って使用するのであれば問題ないと思います。
蚊に刺されることによる感染症の方がよほど危険な場合もありますから、蚊を媒体とする感染症が流行っている地域へ出向くときなどは有効活用しましょう。
ただ、「小学生以下のお子さんが使ったら危険な虫よけスプレー」であることも忘れないで下さいね。
ディート不使用の虫除け剤として最近注目を浴びているのが、ヒバから採れる「ヒバ油」というものです!
皮膚疾患を改善するために、ヒバ油を薄めて皮膚へ塗っていたという方が「蚊にも刺されなくなった」そうです。
また「ヒバで作られた家には、3年くらい虫が寄り付かない」とも言われていますから、ヒバ油を試してみる価値はありそうですよ。
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